走ると、ふくらはぎばかり張る。股関節の「動きと力」も見直してみませんか?
もっと走りたいのに、先にふくらはぎがつらくなる。
走った後にほぐしても、次のランニングでまた張ってしまう。
そんなときは、ふくらはぎの状態に加えて、脚の付け根である「股関節」がどう動き、力を発揮しているかにも目を向けてみましょう。
今回は、腸腰筋と股関節の「柔軟性・可動域・出力」から、走る身体のメンテナンスを考えます。
1.ふくらはぎは、走るために働く大切な筋肉
ふくらはぎの腓腹筋・ヒラメ筋は、走るときに身体を支え、前へ進む力を生み出しています。ふくらはぎが働くこと自体は、自然なことです。[1]
ただ、毎回強く張るときは、練習内容も振り返ってみましょう。
- 最近、走る距離やペースを増やしていないか
- 坂道やスピード練習が増えていないか
- シューズや接地の仕方を急に変えていないか
- 疲れが残ったまま、走り続けていないか
練習量の急増やシューズの変更は、アキレス腱などへの負荷にも関わります。接地の違いによって負荷が変わることも研究されています。[3][4]
張りだけで原因は特定できません。股関節の硬さも、確認する項目の一つです。
2.腸腰筋と股関節は、どんな役割をしている?
腸腰筋は、腰・骨盤と太ももをつなぎ、脚を前に引き上げる働きに関わる筋肉です。
ランニングでは、脚を前に運ぶ動きと、後ろへ送る動きを繰り返します。腸腰筋に加え、お尻や太もも裏の筋肉も、それぞれの場面で働きます。速い走りでは、股関節周辺の筋肉による脚の振り出し・切り返しが特に重要になります。[2]
身体を確認するときは、
「脚を後ろへ動かすと、腰まで大きく反ってしまわないか」
「脚を引き上げるとき、左右で動かしにくさが違わないか」
といった点も見ていきます。
股関節がどこまで動くか、その動きをどう使っているか。ふくらはぎのケアと合わせて、脚全体の使い方を確認する視点です。
3.「伸びる・動く・力を出す」をセットで考える
股関節のメンテナンスでは、次の3つを考えます。
| 視点 | 確認したいこと |
|---|---|
| 柔軟性 | 股関節まわりの筋肉が、必要な動きを妨げずに伸びるか |
| 可動域 | 股関節を、走るために必要な範囲まで動かせるか |
| 出力・コントロール | その範囲で、必要な力を必要なタイミングで発揮できるか |
ストレッチは、柔軟性や可動域を高めるための方法の一つです。[5]
一方で、ストレッチで動く範囲が広がっても、それだけで走るときの出力が十分に高まるとは限りません。
出力の向上には、状態に応じた筋力トレーニングや、走る動作の練習も関わります。目指したいのは、必要な可動域を確保し、その範囲で力を発揮できることです。[2]
4.張りを繰り返すときに確認したいこと
まずは、「何分・何kmほど走ると張るか」「左右どちらか」「翌日まで残るか」を記録してみましょう。練習内容との関係を振り返りやすくなります。
走る前は、歩く・ゆっくり走るところから始め、股関節や足首を無理のない範囲で動かし、徐々にペースを上げます。[4]
強い張りが続くときは、距離や強度を調整して回復の時間も確保しましょう。「股関節をもっと使おう」と、急に歩幅を広げたり接地を変えたりする前に、今の動きを確認することが大切です。
※鋭い痛み、歩きにくさ、片脚だけの腫れ・熱感がある場合は、自己判断で伸ばし続けず、医療機関へ相談してください。突然の腫れや熱感を伴う痛みは、早めの受診が必要です。[6]
5.アラインで、股関節の動きを知ることから
ひたちなか市のアラインでは、ストレッチ専用マシンを使い、自分では伸ばしづらいところまで、無理のない範囲でストレッチを行います。
普段の走る距離や、張りを感じる場面を伺いながら、股関節の動きや左右差を一緒に確認し、マシンの使い方をご案内します。
股関節が動く範囲を知り、必要な動きを使えるようにする。
出力を高めるトレーニングや日々のランニングにつなげるためにも、まずは身体の動きを見直してみませんか。
次のランニングを、もっと楽しみにできる身体へ。
頑張る身体に、日々のメンテナンスを。
参考資料・研究について
- Hamner SR, Seth A, Delp SL. Muscle contributions to propulsion and support during running. Journal of Biomechanics, 2010.
資料を読む - Dorn TW, Schache AG, Pandy MG. Muscular strategy shift in human running: dependence of running speed on hip and ankle muscle performance. Journal of Experimental Biology, 2012.
資料を読む - Almonroeder T, Willson JD, Kernozek TW. The effect of foot strike pattern on Achilles tendon load during running. Annals of Biomedical Engineering, 2013.
資料を読む - American Academy of Orthopaedic Surgeons. Achilles Tendinitis / 9 Tips to Prevent Sports Injuries for Everyday Exercisers.
資料を読む(1)
資料を読む(2) - Siebert T, et al. Effect of Static Stretching, Dynamic Stretching, and Myofascial Foam Rolling on Range of Motion During Hip Flexion: A Randomized Crossover Trial, 2022.
資料を読む - Calderdale and Huddersfield NHS Foundation Trust. Calf Muscle Strain.
資料を読む

